院長コラム

2026.01.10

「人生めちゃくちゃになった」と感じたときの立ち直り方

「もう全部ダメだ」
「ここまで頑張ってきた意味がわからない」
「人生、完全にめちゃくちゃになった」

うつ病で苦しんでいる方の診察室では、こうした言葉を本当によく耳にします。
20代の方も、40代の方も、70代の方も関係ありません。
年齢や立場に関係なく、人は誰でも“人生が壊れた感覚”に襲われることがあります。

まずお伝えしたいのは、
「そう感じてしまうこと自体が、弱さでも甘えでもない」ということです。

「めちゃくちゃになった」と感じるとき、心の中では何が起きているのか

うつ病の状態では、脳の働きそのものが変化しています。
特に「未来を考える力」「自分を評価する力」が極端に低下します。

その結果、

 ・過去は後悔だらけに見える

 ・現在は耐え難い

 ・未来は真っ暗で何も残っていない

という“三重苦”のような認知状態になります。

実際には、
人生がめちゃくちゃになったのではなく、そう見えるフィルターが脳にかかっている
この状態だと考えてください。

厚生労働省も、うつ病は「気持ちの問題」ではなく「脳の病気」であると明確に示しています。
参考:厚生労働省「うつ病について」

立ち直ろうとしなくていい。「戻ろう」ともしなくていい

「立ち直らなきゃ」
「元の自分に戻らなきゃ」

この言葉が、実は一番つらさを強めてしまいます。

なぜなら、
元の自分”という基準が、今のあなたを常に否定するからです。

うつ病の回復期に必要なのは、

 ・以前のように頑張ること

 ・前向きに考えること

 ・気合で立て直すこと

ではありません。

必要なのは、
「今の状態でも生きていていい」という許可です。

今日は洗濯できなかった。
外に出られなかった。
誰とも話せなかった。

それでも、
「それでいい」と言ってあげてください。

人生は「線」ではなく「点」でできている

多くの方が、人生を一本の線として考えています。

だから、

 ・一度つまずくと「もう終わり」

 ・空白期間があると「取り返しがつかない」

そう感じてしまいます。

でも実際は、人生は点の集合です。
今日という1日、今この瞬間が一つの点。

過去の点がどうであれ、
未来の点が見えなくても、
今日の点を無理なく過ごせたなら、それで十分です。

立て直す必要はありません。
積み上げなくてもいい。

「今日は呼吸して、ここにいる」
それだけで、人生は止まっていません。

誰かの力を借りることは、敗北ではない

「こんなことで相談していいのかな」
「もっと大変な人がいるのに」

そう思って受診をためらう方が、市川市・浦安市・船橋市・江戸川区でも本当に多いです。

でも、
苦しさに“資格”はありません。

つらいと感じているなら、それだけで十分です。

医療は、
「頑張れなくなった人」を支えるためにあります。
壊れてから来る場所ではありません。

最後に

「人生がめちゃくちゃになった」と感じるとき、
それはあなたが真面目に、必死に生きてきた証拠でもあります。

今は止まっていていい。
うまくできなくていい。
誰かに頼っていい。

回復は、静かに、ゆっくり進みます。
気づいたときには、「あれ、少し楽かもしれない」と思える日が来ます。

その一歩を、一人で抱え込まないでください。


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「話を聞いてもらうだけでもいいのかな」
そんな気持ちのままで構いません。

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著者

さんメンタルクリニック院長 宇谷悦子

経歴
・鹿児島大学医学部医学科卒業
・鹿児島大学医学部眼科入局
・医師免許取得
・島根大学医学部精神医学講座入局
・島根大学医学部附属病院 外来医長
 リエゾン医/緩和ケアチーム 兼任
・特定医療法人恵和会 石東病院 診療部長
・大田市立病院 非常勤医
・島根県央保健所こころの相談
・大田市自死対策委員
・南行徳メンタルクリニック副院長
・さんメンタルクリニック院長

資格・所属学会
・精神保健指定医
・日本精神神経学会