2025.12.13
うつ病の家族にどう接する? “周りが疲れる” を防ぐ 5つの工夫
はじめに
家族やパートナーが うつ病 を抱えていると、「どう接すればいいのか」「励ましていいのか」「何もしないほうがいいのか」と迷うことが多いと思います。特に、長期間にわたる精神的な不調は、ご本人だけでなく家族にも大きな負担を強いることがあります。この記事では、「家族として無理せず、でも支えになりたい」という気持ちを持つ方に向けて、“周りが疲れてしまう”のを防ぐための具体的な工夫を5つに分けて紹介します。対象となる地域は、千葉県の市川市・浦安市・船橋市、そして東京都江戸川区あたりのご家族を想定しています。
なぜ「家族の接し方」が大切なのか
まず理解しておきたいのは、うつ病は単なる「気分の落ち込み」ではなく、脳の働きや心の状態が変化する「病気」であるということです。回復には時間がかかることもあり、症状には“波”があります。そのため、家族の接し方や支え方が、ご本人の回復や安心感に大きな影響を与えます。そして同時に、支える家族自身が疲弊してしまわないよう、「無理のない関わり方」が重要です。
公的な情報を発信する 厚生労働省 のサイトも、「ご家族にできること」として、家族のサポートのあり方を紹介しています。
それでは、無理せず、でも役立つ「5つの工夫」を見ていきましょう。
① 「まずは理解する」〜病気として受け止めること
最初に大切なのは、うつ病を「怠け」「気のもちよう」と捉えず、「病気」として理解することです。症状には、集中力の低下、思考の鈍り、気分の落ち込み、無気力、不眠などがあります。
例えば、以前はできていた家事ができなかったり、趣味や社交を避けたりするようになるのは、「怠け」ではなくエネルギー自体が枯渇しているサインかもしれません。家族として「なぜ?」「なんでしないの?」と責めず、「今は体が休みを必要としているんだな」と受け止めることが、まずの第一歩です。
また、回復には時間がかかること、症状に波があることも理解しておくと、ご本人も家族も「悪いとき」「よいとき」があることを受け入れやすくなります。
② 「聴く・傾ける」姿勢を大切にする
うつ病の方にとって、話を聴いてもらえること ―― それだけでも大きな安心になります。無理に「元気出して」「頑張れ」と励ますのではなく、まずは静かに、寄り添うように耳を傾けること。
- 「大丈夫?最近どう?」と声をかける
- 思いを話してくれたら、「つらかったね」「そうだったんだ」と共感する
- アドバイスや説教はせず、まずは受け止める
特に、うつ状態では思考が鈍っていたり、言葉にできなかったりすることもあります。そんなときに「話したくなったらいつでも聞くよ」という姿勢をもつだけで、本人にとっては大きな支えになるものです。
また、会話だけでなく、何気ない気遣いやそばにいる安心感も効果的です。「今日はゆっくり休んでね」と言葉をかける、あえて何もしない時間を尊重する――。そうした「存在の安心」を伝えることが、回復への土台となることがあります。
③ 「励ましすぎない」「無理に気分転換させない」
善意から「旅行しよう」「外に出よう」「楽しいことしよう」と提案したくなるかもしれません。しかし、うつ病の時期には、体も心も疲弊していて、普段楽しめていたことがかえって負担になることがあります。無理に外出や気分転換を促すのは、逆効果になる可能性もあるのです。
さらに、「もっとしっかりしなきゃ」「早く元気になってほしい」と励ましすぎることも避けましょう。うつ病の治療や回復は人によってペースが違い、「今はただ休ませてほしい」という時期もあります。
もし「元気になったら」と思うなら、本人の様子を見ながら、タイミングを慎重に — そして必ず「無理はしなくていいよ」と伝えることが大切です。
④ 「家族自身のケア」も忘れずに — 共倒れを防ぐ
誰かを支えるというのは、思っている以上に心身を消耗します。ときには、「自分もつらい」「もう限界かもしれない」と感じることがあるかもしれません。実際、家族やパートナーがうつ病になると、支える側もストレスや疲労を抱えてしまうことがあります。
そのため、家族自身がサポートを受けることも非常に重要です。
- 地域の保健所や精神保健福祉センターなど、公的な相談窓口を利用する
- 同じ立場の家族たちが集う「家族会」「家族の集い」に参加する
- パートナーや親しい友人など、信頼できる人に悩みを打ち明ける
こうした「自分の気持ちの整理」「孤立しないための環境づくり」をすることで、ご本人への支えを持続しやすくなります。
⑤ 「専門家・医療機関との連携」も視野に
ご家族だけでサポートを続けるのは限界があります。特に、症状が長引く、あるいは重くなっていると感じたら、無理せず専門家や医療機関の力を借りることが大切です。
公的には、厚生労働省が運営するメンタルヘルスの情報サイトや相談窓口があり、気軽に相談できる窓口があります。
また、通院の同伴や紹介状の手配など、家族が協力することで受診へのハードルが下がることもあります。初診のきっかけをつくるのも、ご家族の大きな支えになります。
うつ病は適切な治療と支えがあれば改善の可能性があります。そして、ご本人と家族がともに安心して過ごせるようにするために、「ひとりで抱え込まない」こと ―― それが何より大切です。
さいごに:無理せず、でも支えたいあなたへ
うつ病の家族にどう接すればいいか――正解はひとつではありません。大切なのは、「病気として受け止める」「無理せずに寄り添う」「家族もケアを受ける」「専門家に頼る」という選択肢を持ち、自分たちのペースで進むことです。
特に、千葉県の市川市、浦安市、船橋市、そして東京都江戸川区のような都市近郊にお住まいの方なら、通いやすい医療機関や相談窓口も比較的多くあります。ご自身だけで抱え込まず、適切なサポートを活用してください。
――もし「どこに相談すればいいか分からない」「通院の仕方がわからない」と感じたら、遠慮なく相談してください。あなたとご家族が少しでも安心できるよう、サポートを受けることは決して恥ずかしいことではありません。
さんメンタルクリニックは WEB 予約が可能です。ご希望の方はぜひご利用ください。
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著者:
さんメンタルクリニック院長 宇谷悦子
経歴
• 鹿児島大学医学部医学科卒業
• 鹿児島大学医学部眼科入局
• 医師免許取得
• 島根大学医学部精神医学講座入局
• 島根大学医学部附属病院 外来医長
リエゾン医/緩和ケアチーム 兼任
• 特定医療法人恵和会 石東病院 診療部長
• 大田市立病院 非常勤医
• 島根県央保健所こころの相談
• 大田市自死対策委員
• 南行徳メンタルクリニック副院長
• さんメンタルクリニック院長
資格・所属学会
• 精神保健指定医
• 日本精神神経学会
参考リンク
- 「ご家族にできること」 — 厚生労働省『こころの耳』サイト